トルクメニスタン情報
令和3年2月22日
1. 国家・民族・国土
国旗――部族統合の象徴
1992年に制定されたトルクメニスタン国旗は、2度の微修正を経て2001年に現行のデザインとなった。基調の鮮やかな緑色は、幸福な生活、大地を覆う牧草、平和等を象徴するものと説明されている。また「半月と星」は、近隣のウズベキスタンやアゼルバイジャンの国旗と同様にチュルク的、イスラム的なモチーフであり、星の数は国内5つの州を象徴している。
国旗の最大の特徴は旗竿側に施された赤い縦帯にあり、これが「世界一凝った国旗」と評される所以。赤帯内の紋様は、5つの代表的部族(アハルテケ、ヨムート、サルィル、チョウドゥル、エルサル)に固有の「ギョル」と呼ばれる絨毯紋様。赤帯の下部には、国連総会で「永世中立国」の地位が認められたことにちなみ、国連旗と同じ「平和の象徴」=オリーブの枝が追加されている。
トルクメン人――尚武の気質
国旗――部族統合の象徴

国旗の最大の特徴は旗竿側に施された赤い縦帯にあり、これが「世界一凝った国旗」と評される所以。赤帯内の紋様は、5つの代表的部族(アハルテケ、ヨムート、サルィル、チョウドゥル、エルサル)に固有の「ギョル」と呼ばれる絨毯紋様。赤帯の下部には、国連総会で「永世中立国」の地位が認められたことにちなみ、国連旗と同じ「平和の象徴」=オリーブの枝が追加されている。
トルクメン人――尚武の気質

イラン北部からトルクメニスタン南部(特にメルヴ)を根源地として成長を遂げたセルジューク朝は,言語的・民族的にも現代のトルクメニスタンとの一定の連続性が認められる。このため,トルクメニスタンの国民はセルジューク朝に自らの民族的起源を求める傾向が強い。ロシア帝国時代、トルクメン人はその勇猛さを見込まれてトルクメン(テケ)騎馬連隊を編成するなど、尚武の気風で知られてきた。

それに先立つロシア帝国の進出の際、トルクメンのテケ部族は頑強に抵抗し、1880年夏から翌年1月にかけて、現在のアシガバット近郊にあるギョクデペ要塞に籠もって熾烈な戦闘を繰り広げたことは有名である(ギョクデペの闘い)。1995年には、この戦闘での約1万5千人の犠牲者を追悼して、中央アジア最大規模のイスラム寺院が建設された。なお、ベルディムハメドフ大統領もギョクデペ近辺の出身。
豊富な天然ガス:世界有数の埋蔵量評価

それに先立つロシア帝国の進出の際、トルクメンのテケ部族は頑強に抵抗し、1880年夏から翌年1月にかけて、現在のアシガバット近郊にあるギョクデペ要塞に籠もって熾烈な戦闘を繰り広げたことは有名である(ギョクデペの闘い)。1995年には、この戦闘での約1万5千人の犠牲者を追悼して、中央アジア最大規模のイスラム寺院が建設された。なお、ベルディムハメドフ大統領もギョクデペ近辺の出身。
豊富な天然ガス:世界有数の埋蔵量評価


トルクメニスタンは、旧ソ連諸国でもロシアに次ぐ豊富な天然ガス埋蔵量を有する。主要なガス田は国内東部に集中しており、ダウレタバット(Dauletabad:1984年生産開始)が長らく国内最大のガス田であった。2008年10月、東南部マルィ州の南ヨロテン=オスマン天然ガス田(現ガルクィヌィシ・ガス田)に対する詳細調査の結果、世界第二位の埋蔵量評価(4兆㎥~14兆㎥)が示された。これ以外にも小規模のガス田は国内に無数にあり、発火したまま燃え続けるガス・クレーター、通称「地獄の門」も存在する。
国政の根本原理――「永世中立」
1995年12月12日、トルクメニスタンは国連総会決議で「永世中立国」の地位を認められた。2015年には国内外からゲストを招き,20周年記念行事を実施。この「永世中立」は憲法第1条にも明記され、国政の根本原則となっている。政府指導部の中立への思い入れは強く、市内のメインストリートや政府機関紙の紙名にも「中立トルクメニスタン」の名称が用いられている。また、閣僚会議ビルの横には、ニヤゾフ前大統領の黄金像を頂点に頂く「中立のアーチ」(中立のモニュメント)が建造された。脚柱の数をもじって市民から「三本脚」と愛称されるこの塔は、数年前に首都の南部に移設されたが、今も昔日と変わらぬ威容を誇っている。「95年12月12日」に因んで、塔の全長は95メートル、頂点のニヤゾフ像は高さ12メートル。
2. 文化と伝統
汗血馬の子孫? 名馬アハルテケの原産地
国政の根本原理――「永世中立」

2. 文化と伝統
汗血馬の子孫? 名馬アハルテケの原産地

アハルテケ馬(Ahal-Teke aty)は、トルクメニスタンの国章の中心に描かれているトルクメニスタン原産の馬種で、厳格な血統書を持ち、世界各地に愛好家が存在する。被毛は金属光沢を放ち、「黄金の馬」とも呼ばれる。また、持久力に富み、約4200kmを84日間で走破した記録もあることから、一日に千里を走るという中国歴史上の名馬、汗血馬の子孫とする俗説もある。

なお、京王線「府中競馬正門前駅」の入口にはこの馬の銅像が建てられており、待ち合わせ場所として利用されている。2019年5月、青森県内の牧場で、2年前に輸入されたアハルテケ馬から赤ちゃんが生まれ、日本で初めて繁殖に成功した。
トルクメン絨毯

首都アシガバットの絨毯博物館には、およそ10万枚の絨毯のコレクションが保管されており、2003年にギネスブックに登録された元世界最大の手織り絨毯も展示されている。また、国立博物館にも、かつて世界最大を誇った「トルクメンの心」と名付けられた横幅21m、縦14m、重さ1200kgの手織り絨毯(1941年~42年に40人のトルクメン女性が8カ月かけて制作したといわれる)が収蔵されている。なお、トルクメニスタンでは、5月の最終日曜日が絨毯にちなんだ祭日(「絨毯の日」)となっている。
トルクメン男性の民族衣装:テルペク

「長老」と尊称される高齢のトルクメン人男性は、「テルペク」という黒色または白色の、羊毛で作られたアフロヘアーにも似た大きな帽子を被っているのが特徴である。この帽子は遊牧生活に適した機能性に富んでおり、寒暖差に適応し、見た目よりも軽量である。また、公式な場でも着用され、男性の威厳を示すうえでも非常に重要な衣装の一つである。トルクメン民族の男性はテルペク帽に誇りを持ち、大切に保管するとされる。
世界遺産:国立歴史文化公園“古代メルヴ”(メルヴ遺跡)


この広大な古址には、13世紀にモンゴルの騎馬軍に滅ぼされるまでの約二千年間の遺跡群(メルヴ最古のエルク・ガラ城跡、キズ・ガラの城壁、スルタン・サンジャル廟等)が、良好な状態で保存されている。イスラム教の寺院跡ばかりでなく、それに先立つゾロアスター教やキリスト教、更に仏塔までが現存し、世界最西端の仏教遺跡とされる。

トルクメニスタンの世界遺産には、ほかにも、アシガバット南西部ニサの城塞群(パルティア時代の都市遺跡:2007年文化遺産登録)や、北東部の古ウルゲンチ(12世紀ホラズム・シャー朝の首都。世界有数の高さ(60m)を誇る尖塔などからなる:2005年文化遺産登録)などがある。
民族的詩人:マクトィムグルィ(Magtumguly:1733-83)

伝統料理:窯焼きパン、ラクダの発酵乳
中央アジアに広くみられるシャシリク(肉の串焼き)やプロフ(ピラフ)といった羊肉中心の料理が一般的であるが、山羊肉の串焼き(ケイイグ・ケバプ)やラクダの発酵乳(チャール)などは、トルクメニスタン独特のものといわれる。分厚く丸い窯焼きパン(チョレク)には、バターで層をつくったもの(ヤグルィ・チョレク)や肉入り(エトリ・ナン)などがあり、バリエーションも豊富。




果物の名産地:甘く香り高いメロン

なお、ニヤゾフ前大統領はメロンへの思い入れが強く、1994年以来、8月の第2日曜日をメロンにちなんだ祭日(「メロンの日」)に制定した。それ以来、毎年の「メロンの日」には舞踊や音楽を交えた祝賀祭が催されている。
3.今日の生活
安価な公共料金
豊富な天然ガス資源を誇るトルクメニスタンでは、家庭向けのガス・電気・水道水が事実上無料で供給されている(2018年9月には、2019年1月1日から国民向けの電気、ガス、飲料水の無償提供を廃止することが決定された)。乗用車の所有者には、毎月120リットル分の無料ガソリン券が配布されていた(2014年7月に制度廃止)。なお、現在のガソリン(A-95)価格は1リットル=1.5マナト(1$=110円で換算すると約47円)。その他、基礎食料品についても統制価格が維持されており、国産の食肉、鶏肉、鶏卵、綿実油、パンなどは、どの商店でも表向きは公定価格で売買されている。
「白亜の首都」とギネスブックに載る不思議な建造物群
首都アシガバットには、外装を白亜の大理石で覆われた13~14階建ての建築物が林立し、「白亜の大理石建造物の凝集度の高さ」で世界一に認定されている。外観が似た建物が多いことで、行きずりの来訪者は位置感覚を失うが、首都当局によると、まったく同一の外観を持つ建物は一つもないとのこと。また、同市には、世界最大の室内観覧車、世界最大の噴水複合施設、世界最大の星型建築物、世界最大の鳥型建物(新空港),元世界一の高さの巨大な国旗掲揚竿など、ギネスブックに載る不思議な建築物が集中している。




首都アシガバット南部のコペト山脈麓にある遊歩道「健康の道」は、ニヤゾフ前大統領時代、国民の健康増進を目的として整備された36kmの舗装道路で、丘陵に敷設されているため、かなりの急勾配となる箇所もある。ベルディムハメドフ大統領自身も、閣僚らを率いてしばしばジョギングをおこなっており、「健康な精神は健康な肉体に宿る」のモットーの下、トルクメニスタン国民には、この遊歩道で健康維持と体力増進を図ることが推奨されている。

なお、同様の理由で、近年は自転車の利用も推奨されており、2018年はトルクメニスタンを含めた各国のイニシアティブで6月3日を「世界自転車デー」(World Bicycle Day)とする国連総会決議が採択された。さらに2019年6月1日、オリンピック村で「2019人が縦一列で自転車パレード」したことがギネス世界記録として認定された。
4. 我が国との関係
大人気を博する日本車
トルクメニスタンでは日本車が大人気。特に「故障知らずで維持費が小さい」と言われるトヨタ車が抜群の人気を誇り、2022年現在の国内登録車のうち、トヨタ車の比率は49%(内訳は、カムリ:42%、カローラ:14%、アバロン:10%、シエナ:7%、ランドクルーザー:5%、その他:22%)にのぼるとされている。その多くはドバイから個人輸入された中古車である。なお、当時は登録車に対してガソリン券が無償配布されていたため、年式が古く実働率の低い旧ソ連製の車なども相当数統計に含まれていたと推測される。このため、今日のアシガバットなどでは、市内を走行する車の半数以上がトヨタ車ではないかと思われるほど、トヨタ車の占有率は高い。また、トヨタの本体ブランド以外に、レクサスや日産車なども愛好されている。
抑留者墓地
カスピ海沿岸のトルクメンバシ市(旧名:クラスノヴォーツク)は,ソ連による日本人抑留地の一つであり,日本人抑留者の墓地が所在している。トルクメンバシ市民の間では,今でも日本人抑留者の勤勉な働きぶりが語り継がれており,実際に日本人抑留者が建設した建物,道路等が今でも往事の形で残っている。1995年5月の抑留者団体来訪時にはモニュメントも設置され,市当局が大切に管理している。
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